モーニングセミナー

11月29日(木)久万田昌弘氏 「誰にも負けない努力をする」

 11月29日(木)のモーニングセミナーは、ホテル日航高知旭ロイヤルにて朝6:00より、久万田社会保険労務士事務所所長 高知県倫理法人会普及拡大委員長 久万田昌弘氏より、『誰にも負けない努力をする』と題して講話を行っていただきました。

 まずは、中越会長より、「倫理法人会には、たくさんの立派な経営者がいますが、本日の講話者である久万田氏ほど有言実行する人はいません。こうした方の生き方を参考にしながら、皆さんも努力し結果を出して頂きたいと思います」と力強く挨拶されました。

20121204a.jpg
 続いて、久万田氏の講話です。『誰にも負けない努力をする』という講話のタイトルは、京セラ創業者の稲森和夫氏の「経営の原点十二箇条」の中の一文です。

 人生で、どちらに進むか迷った場合に、苦労が多い方を選んできましたが、無駄になった事はこれまでに一度もないそうです。「誰にも負けない努力をしているか?」と、常に自分に問いかけながら、努力を続けている久万田氏に、その生き様を語って頂きました。

■プロフィール
 久万田氏は、昭和37年生まれで、現在50歳。お父様が(株)久万田海産を興し、その工場の上に自宅がありました。朝から晩まで働くご両親の背中を見て育ち、本人も学生時代から手伝いをしていたそうです。大学時代もその半分の期間を手伝いで過ごし、他の会社に就職することなどは思いもせず、そのまま久万田海産に入社しました。

 入社後は、市場関係者の方から、「長男(久万田氏)はまじめすぎる。外に出して鍛えたらいい」と言われたそうですが、お父様は「俺の息子は俺が育てる」との信条で、厳しく仕事を教えてくれました。

 やがて「お前は本当は凄い男かもしれん」と言われるまでになり、とても嬉しかったそうで、なんとかお父様に喜んでほしいとの思いで、辛い仕事も頑張ることができました。

 入社一年後、突然お父様が他界。享年51歳でした。あまりにも突然の死でしたので、悲しい感情と共に、「会社をどうするか?なんとかせないかん」と思ったそうです。また、同じ年にお爺様も他界。人の世の無常さを感じ、「好きなことをやらないかん」と思いました。

 世間では、久万田海産が倒産するかも、とのうわさも流れ、融資を申し込んだときには、たばこの煙を吹きかけられながら断られる、という屈辱的な思いもしたそうです。

 だんだんと気持ちが不安定になり、怒鳴ったり、備品を蹴ったり、という異常行動をするようになりました。見かねたお母様達が、何かに憑りつかれているのでは?と心配し、「お祓いに行こう」と誘われました。そこで、久万田氏はハッと気付きました。仏壇の前で思いっきり泣き、涙と共に吹っ切れました。そして決意しました。
 「自分は並の人間である。人が寝ているときに働くしかない。人の2~3倍努力するしかない。とにかく、美味しい商品を作ろう」と。良いモノを仕入れて良い商品を作る、との思いで努力を重ねた結果、次第に、「久万田の商品は、美味しくて鮮度が良い」との評判が立ち始めました。

 久万田氏は言います。「商売というものは、ある程度まではテクニックです。しかし、最終的には、人柄が出ます。誠意を持って続ければわかってくれます。」
 また、そのころ奥様との出会いもありました。お互いの第一印象は、「頭の良い人だ」(久万田氏)、「悪い人ではないな」(奥様)だったそうです。

 そして、ほどなくして結婚。会社の方も第二・第三工場を建設し、生産能力を上げました。お父様の死後、23歳で受け継いだ会社は、氏が33歳の時には県内トップの売り上げになり、従業員も40人をかかえる企業にまで成長しました。

 しかし、経営が軌道に乗ってくると、やがて守りの経営となってしまい、高級車に乗るなど生活も贅沢になっていったそうです。弟様との共同経営でしたが、二人とも「このままでは会社がつぶれる」と感じ始めていました。そして、久万田氏の人生最大の転機となる一日がやってきました。

 その日、久万田氏は会社を去ることになったのです。あらかじめ予感していた氏は、腹をくくっており、そのまま歩いて自宅に帰り、その日の出来事を奥様に説明しました。話を聴いた奥様は、ひとことこう言いました。「お父さん、よかったやいか。これでお父さんの好きなことができるやいか。」そこから、久万田氏のリベンジが始まりました。

 次の日の朝、日経新聞の紙面に社会保険労務士の講座を見付け、すぐさま申し込みました。

 そして、奥様と「一発で合格できなかったら何でもする」と約束し、毎週一回、日帰りで大阪に通う受験生活が始まりました。 
 月曜日から土曜日は、終日図書館で勉強。追手筋のネオン街にうしろ髪を引かれながら、自転車に乗って通い続けました。
 奥様にも教材づくりを手伝ってもらいながら壮絶な努力を続けました。「自分のためならできない努力も、誰かのためならできる。」そう思い続けた久万田氏は、奥様・お子様・お母様からパワーをもらい、見事に一発で合格。そして自宅で久万田社会保険労務士事務所の開業を果たしました。
20121204c.jpg
■有言実行
 開業後は、セミナーを開催したり、人が嫌がる仕事を受けたりと、あらゆることを行いました。失敗したこともありましたが、悔やんでも仕方がないと思い、どうすればその失敗を乗り越えられるか、と考えました。そして積極的に勉強もしています。「ある額の収入を得ようと思ったら、その額の3%を自分に投資しなければならない。」そう語る久万田氏は、弁護士さん達と共に研修を受けるため、現在東京にも通っています。

 「200件の顧問先があれば、200通りの対策が考えられます。困ってる経営者を助けたい、という思いで頭がいっぱいです。」
 久万田氏は、仕事をする上での3つの目標を立てました。そしてその目標を人に公言しました。「声に出して言うことによって、必ず実現できる」との信念を持つ氏は、その3つの目標を全て達成しました。

■倫理との出会い
 人前で話すことは苦手、と思っていた久万田氏は、スピーチの練習ができるということで倫理法人会を紹介されました。それまでは、人生最大の転機となった日の出来事に対して、憎しみの感情をパワーに変えて頑張ってきましたが、倫理の学びを得てからは、憎しみは和らぎ、全てが今の自分にちょうどいい、と思えるようになりました。

 毎朝3時に起きて早起きの実践をしています。早起きして働くと、仕事が2倍から3倍の早さになります。仕事は、追いかけられると苦しいですが、追いかけるとひらめきがあります。
 毎朝3時に起きて働いてることに対して、ある人から「人生楽しいですか?」と聴かれたこともありますが、やるしかない、働かないと成功はない、そして、稼いだお金で税金をしっかりと払いたい、と思っています。

■最後に
 久万田氏の目標は、四国一の社会保険労務士になることです。目標を定めれば、次になにをするかがわかります。イメージがカラーで鮮明に描けているそうです。内に秘めた闘志は日本人の美徳と言われますが、氏は、言葉にすることで自分を鼓舞して実行し続けています。

 「『万人幸福の栞』の中に『自信のないことは失敗する。・・・きっと出来るという信念が、そのことを成就させる』という一文があります。自らの体験からそのことを確信しています。」と締めくくって頂きました。

20121204b.jpg

 多くの方から、信頼され尊敬され、発展し続けている久万田氏ですが、それらは誰にも負けない努力の成果だということを、あらためて感じました。参加者もたいへん感動していました。貴重なお話をありがとうございました。
(文責 中宏文)